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自分に足りないもの

個人事業主としてやっていくにあたって、今の自分に足りてないものを考えてみた。

提案力がない

これは一番感じる。なんとなくITで何かやってみたい、と考えている(技術にはあんまりくわしくない)顧客に対して、スッ、といい感じのソリューションを提案できるパワー。

実際にそこで即興で差し出した提案がそのまま採用されなくてもいいと思う。何か、顧客に対して「いいじゃんそれ!」と思わせるようなノリが足りない。

ノリ。つまりグルーヴ。というか文字通りのインプロヴィゼーションというかジャムセッション感というか。そういうのが足りない。この「ノリ」を生み出すために必要なのは何か。多分次の項目が関係してる。

ビジネス界の流行りを追えてない

エンジニアにとってビジネス界の流行りを追うというのはどういうことか。多分Kubernetesをやるとか、Rustをやるとかではない。これはもう、圧倒的にAIであり量子コンピューティングでありブロックチェーンなのである。ドローンでありIoTであり5Gなのである。

エンジニアは、これらの技術をビジネスで使うのにどれくらいの労力が必要かということが顧客よりもずっと感覚としてわかっている。そんなに簡単にできることではないし、できるようになったところで顧客のビジネスに生かせる可能性がどれくらいあるかはわからない。というか顧客のビジネスとは全く関係ないことのほうが多いだろう。

しかし、顧客との間で「ノリ」が生まれるのは圧倒的にこれらの「ビジネス界の流行り」が話題に出たときなのである。

そしてそこで生まれたノリを実際のビジネスとして動かしていくためにはいくばくかの実際の技術スキルが必要となるだろう。つまり、簡単なデモは見せられるくらいにAIを使えたりドローン飛ばしたりできる必要がある。しかし実務レベルのエンジニアスキルにまで磨くことはできない。当然ながら、AIをバリバリやってる人たちは大学院まで行って勉強したりとか、就職してからも日々膨大なデータを扱ったりしているのだ。そこと比べられたら一介のWEBエンジニアが片手間で習得できる「AI」などたかがしれている。

だがその素人に毛が生えたようなスキルこそが、顧客をその気にさせるのだろう。そこに対して時間を投資することができないでいる。技術者としては、そこに対する片手間の投資が無駄に見えて仕方がないのだ。これから先AIのエンジニアとしてフルタイムで働くことになるのなら話は別だが、そういうわけではない。生活の糧はWEB開発の案件で得ていく必要がある。であれば、「本業」であるWEBの方面でエッジの効いた技術を習得していくほうがエンジニアのキャリアとしては効果的に思えてしまう。

だがそれだと目の前の顧客の「ノリ」を引き出すことができない。一人でやっていることの限界を感じる。「ハスラー」的な相棒が一人いてくれたら心強いのにな、、と思うことはある。

特化した技術領域がない

エンジニアのキャリア云々を書いておきながら、自分には特化した技術領域がない。まあWEBのサーバーサイドが一番得意ではあるが、Linuxのカーネルパラメータについて詳しいとかいうわけでもない。スマホアプリ作ってくれと言われたら言われるがままに作る。そんな、ポリシーのないエンジニアだ。今まではそうでいることが生き延びる戦略ではあったのだが、今後はそれだときつくなっていく気がする。

というのも、自分より年上で、WEBもアプリも基幹システムも何でもやる、というエンジニアを数人みてきたのだがどのエンジニアも50歳になったときに自分がなっていたいエンジニア像ではなかった。自分が初老のおっさんになったときは、コンパイラや仮想マシンに詳しいエンジニアになっていたい。それが仕事になるかどうかは別として、そのへんの低レイヤがわかった上でサーバーのチューニングとかアルゴリズムの最適化とかができるかっこいいエンジニアになっていたい。

そういう気持ちがあるものの、目の前の仕事に追われて肝心のコンパイラや仮想マシンの勉強は全く手がつけられていない。自営業化したこともあり、収入を安定化させることが先で、それらは棚上げ状態になっている。このまま続けていくと、「安定のため」に続けていたポリシーなき仕事選びこそが自分のキャリアを不安定にさせるのではないかという危惧がある。なんでも屋は、誰とでも替えがきく存在でしかない。なんでもできる人はかっこいいが、なんでもできる人には確固たる基礎がある。低レイヤがわかっているから、あるいはたくさんのアーキテクチャをみてきたから、何でもできるのである。ところが、言われるがまま何でもやってきた人には基礎がない。やれと言われたことをこなすスキルは伸びるが、それだと単なる「保険」としての人材の域を出ない。

何でもできる人と何でもやるだけの人は違うのだ。何でもやる人は、言われたことをやりはするけれどやれるかといったらそうでもない。


エンジニアであるからには、顧客に夢を見させられる技術を持っていなくてはならないと思う。夢を見せた結果顧客のビジネスが大コケしても、夢を見ていたときの興奮はウソではない。顧客に夢を見せることでカネも人も動く。さらに言えば夢のある仕事は若者の興味を引くことができる。エンジニアが棄却に対して夢を見せることで生まれた夢のある仕事に若者が参画することで、顧客から若者へ、つまりおっさんから若者へとカネが流れていくのである。

世の中に夢を振りまくエンジニアであるためにも、上に書いた3つの内少なくともどれか1つは持っていなくてはならないと思う。一人の人間が達成できることは限られているからだ。となると自分ができるのは技術を磨くことだろうか。田舎では技術だけ持っていても仕事につながらなかったりするので難しいところだ。とりあえずはいろいろやって模索していきたいと思う。

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