自分は五年前に31歳未経験という状態からプログラマーとして働き始めた。
いまはこういう人そこまで珍しくもないみたいだけど、やっぱり少数派ではあると思う。
最近なぜかわからないがWEBエンジニアとかITエンジニアという職業が人気のようで、なりたいという人に沢山出会うようになった。
それ自体は良いことである。今は人手が少ないし売り手市場だ(新型コロナウイルスのせいで一時的に不況になりそうな気配だが、多分落ち着いたらまた超売り手市場になると思う。なにしろ2030年の予測まで出てるくらいなので)。
しかし、なりたいと言ってる人がモノになるかどうかはまた別の問題だ。20歳そこそこの若手エンジニアの人たちと接していたことが一時期あったが、本当に人によって向き不向きが顕著に出た。頑張ってできるようになりたいという心意気は感じるもののパフォーマンスが発揮できてるかを見てみると大して仕事に意欲がなくてもITエンジニアという職業に向いてるタイプの人のほうが圧倒的に良い成果をだすということがある。
自分はすごいエンジニアというわけではないが使えないエンジニアというわけでもなく、なんとかそれを仕事として独立して食えている程度の、まあモブキャラくらいのレベルのエンジニアだと思う。だから、向いていないというよりもむしろ向いていたのだと思う。
性格的に向いていたというだけではない。環境がもたらした要因もあって、ITエンジニアを続けていられるのだろうと思う。自分がエンジニアになれて、しかもそれで仕事をやっていけている理由をいくつか書き出してみたいと思う。というのもあまりに「向いていない」「成果が出ない」エンジニア志望の人に出会うからである。
自分自身の性質に起因するところが大きい点
論理的に考えるのが苦ではない
素人だがもともと哲学とか文芸批評みたいなものが好きでそれ系の本の読んでいた。論理的に物事を考えるのは苦ではない。これは結構大きいと今も思っていて、できるエンジニアはみんな本をよく読んでいる説を唱えたいくらいだ。
新しいものが好き
根が浮ついているので新しい技術にすぐ飛びつく。もちろん新しいものばかりを追いかけていたらちゃんとした技術力は全く身につかないわけだが、この商売は新しいものにしがみついてナンボなところがあるのもまた真理だ。この性格はプラスに働いていると思う。
ひきこもり
もともと引きこもりで、それが原因で大学を留年した。家にパソコンとインターネットがあれば大体生きていけるタイプの人間だ。しかしネオニートではなかったので金儲けだけは苦手だった。プログラミングで飯を食えるようになったので本当にパソコンとインターネットだけで生活できるようになってしまった。
SF的なものが好き
SF小説は今もたまに買って読んでいる。映画もSF的なやつがどちらかといえば好きだし、アニメもSF的なやつが好きだ。『ハッカーになろう』にもSFを読めと書いてあった気がする。プログラミングやエンジニアリングの能力とは直接関係は無さそうだけど、SFが好きというのは大事っぽい気はする。
環境に起因するところが大きい点
最初に入った会社に誘ってもらった
最初にプログラミングを教えてもらった会社には、自分が応募したわけではなく誘ってもらう形で入社した。そういうのがなければプログラミングをいまやってなかったかも知れない。今頃は何をして生きていたのだろうか、、、リアルに首を吊っていたかも知れない。
ゲーム買ってもらえる家だった
ゲームなんて今どきどの家の子供も買ってもらってるのかも知れないが、案外買えない家も沢山あると思う。実際自分の同級生にも家が貧しくてゲーム機を持ってない子供が何人かいた。ゲーム機を買ってもらえるというのは大事だと思う。ゲームを沢山やることでコンピューターに指示を出す感覚が身についたと思う。
インターネットをやらせてもらえる家だった
ゲーム機に輪をかけてインターネットをさせてもらえる家は少ないだろう。いまでも家にはWifiありませんという人は多い。インターネットがあることでパソコンに抵抗なくなるしブログなんかもやるしjpegだpngだの区別ができるようになるし、ITリテラシー的なものはインターネットとひきこもり生活が教えてくれたと言っても過言ではない。ひきこもり体験がなくてはいまのプログラマー人生もありえなかっただろう。
主なものは以上のような感じだろうか。でもプログラマーとしてやっていくにあたってマイナスに働く要因も沢山思い当たる。
例えば自分は文系である。理系で情報系の大学を出た人と比べたら超えられない壁どころではないはるか天空にまでそびえ立つ壁がある。
たとえば自分は田舎に住んでいる。ITでやっていこうという人間は都会に住んでいなければ話にならない。田舎に住んでいる限りいつ職を失うかはわからない。ひきこもり系で営業力などゼロに近い自分が今もやっていけているのは奇跡に近いような気がする。
しかし結局のところIT、とくにWEB業界で必要とされている能力なんてものはそんなものなのかも知れない。数学など一個もわからなくてもWEBはやれる。田舎に住んでいても個人経営の商店主を騙して高い値段でホームページを作れば生きていける。WEBなんてものはそんなものなのだろう。WEBはこれからも行き場もなく社会の底辺をさまよう人たちに蜘蛛の糸を垂らし続けるのかも知れない。WEBなだけに。